阪本麻郁のケルン便り

Friday, May 30, 2008

野菜の王様“シュパーゲル”



 5月に入り、ドイツは太陽がサンサンと輝く気持ちの良い日が続いている。
冬眠から覚めた動物の様に、太陽のエネルギーを逃すものか!と言わんばかりに、人々は屋外に繰り出す。カフェのテラス、ビヤガーデン、公園、そして家の軒先ならぬアパートメントの入り口までもが、太陽を浴びながらくつろぐ人々の憩いの場となる。この時期、ドイツ人達のもう一つの楽しみは、今が旬の “シュパーゲル”(白アスパラガス)。
 4月中頃から、市場やスーパーマーケットに出始め、伝統に則り6月24日の聖ヨハネスの日をもって出荷時期を終えるシュパーゲル。店の軒先にずらっと並ぶその精悍な姿は、ドイツ人にとって春の知らせでもある。シュパーゲルは、どちらかというと高価な野菜で、安いものは1kg3ユーロ(約480円)から、高価なものでは10ユーロ以上(約1600円)するにも関わらず、2007年の統計によると、全農業面積のうち、約20パーセントに当たる2万1700ヘクタールがシュパーゲル畑で、ジャガイモ、玉葱を押さえての堂々の1位というのは驚きだ。
 日本で一般的な緑のアスパラガスと違い、土の中に埋めて育てるため白くなるシュパーゲルは、口の中で溶ける様に柔らかく、優しい甘みが魅力である。友人を招いた夕食会の為に、2kgのシュパーゲルを近くの八百屋さんで購入。お鍋一杯にお湯を沸かし、レモン汁とお砂糖、バターを一かけと共に皮を剥いて茹でる。これに定番のオランデーズ・ソースを掛け、シンケン(生ハム)と共に頂く。4人でこんなに食べられる?と思いきや、約95%が水分でカロリーがないせいだろうか、すっかり完食した。春の味に、舌鼓である。
 5月のドイツは、日本から旅行に来られる方にも一番お進めしたい。寒さに震えて回る冬の古城ツアーより、国中が春の訪れを迎え活気に溢れる中で、太陽の下、レストランのメニューに誇らしく並ぶ“この次期限定シュパーゲル料理”と共に、ドイツ産のきりりと冷えた白ワインを頂く、是政にドイツの醍醐味!
*京都新聞5月投稿